ハイローオーストラリア(Highlow.com)ではユーザーに対して禁止事項を設けて遵守を求めています。
ルールの詳細は時々変更されているので注意が必要ですが、比較的初期の段階から禁止されている行為に「業者間アービトラージ等の自動売買ソフトの利用の疑い」があります。
このコメントがオフィシャルサイトのよくある質問に掲載されている影響で、自動売買ソフトをハイローオーストラリアで使うと口座凍結になると言われています。
ただ、業者間アービトラージ等となっているので、問題なのは業者間アービトラージのような取引の仕方をした場合だと考えられます。
この禁止事項は運営側が疑いがあると思ったら口座の強制解約ができる形になっているので、疑われる取引をしないのが大切です。
自動売買ソフトを使っていなかったとしても、やり方によっては疑われてしまうリスクがあるでしょう。
ここでは明記されている業者間アービトラージとは何かを解説します。
禁止事項に触れたと思われてしまわないようにするために何が必要なのかを考えてみましょう。
アービトラージとは
業者間アービトラージとはアービトラージと呼ばれる取引手法の一つです。
アービトラージは日本語では裁定取引と呼ばれていて、為替市場だけでなくコモディティや株式などの様々な市場で行われています。
アービトラージは通常は同一の価値を持つ資産に着目する取引で、わずかな期間に発生した二つの資産の価格差を利用して取引をすることにより利益を得る手法です。
価格差が発生したときに割安な資産を手に入れて、割高な資産を手放します。
そして、手に入れた側の資産が割高になるか同一価格に近づいた段階で元に戻すことにより利益を得る方法がアービトラージです。
例えば、金の価格と金の先物価格に違いが発生して先物価格が高くなったときに、持っていた買いポジションを売却したり、売りポジションを獲得したりして全く同じ資産価値の金の現物を買います。
そして、現物と先物の価格が近づいてきた時点で金を売却し、代わりに再度買いポジションを獲得するか売りポジションを決済します。
このようにしてアービトラージを行うとわずかな差額によって着々と資産を増やすことが可能です。
為替市場では異なる通貨の間での取引を狙う異通貨間アービトラージ、金利差を活用して取引する金利アービトラージ、そして業者間の価格の違いに着目する業者間アービトラージの三種類が代表的です。
◆異通貨間アービトラージ
◆金利アービトラージ
◆業者間アービトラージ
異通貨間アービトラージは純粋に為替レートに着目し、金利差アービトラージは金利によるスワップポイントを生かすことを重視した取引手法です。
わかりにくいのが業者間アービトラージですが、どのような手法なのでしょうか。
業者間アービトラージとは
業者間アービトラージは文字通りに考えると業者ごとに価格が違っていることを利用して極めて短い時間での売買をすることにより資産を増やす方法だということになります。
しかし、実際には業者間アービトラージはレイテンシーアービトラージとも呼ばれていて、業者間で生じる提示価格の遅延に着目する取引手法です。
レイテンシーとは後れ、待ち時間などと日本語に訳される言葉です。
投資家が売買の注文を出すときにはバイナリーオプションの場合に限らず、株式投資やFXなどでも証券会社などの口座を作ってその注文窓口となっている業者に依頼を出します。
その際には業者が提示している価格での売買注文になり、その通りに約定できれば取引が成立するというのが一般的です。
ただ、株価や為替レートはその業者が決めているわけではなく、株式市場や外国為替市場などで確定されています。
その結果を受けて投資家に向けて示すまでにはタイムラグが生じます。
価格の確定から提示までの時間には業者間で違います。
その時間差を狙うのが業者間アービトラージです。
極端な例からどのような仕組みで利益を生み出せるのかを理解しましょう。
9時0分0秒の時点で米ドル円の為替レートが1ドル100円0銭だったとします。
そして、9時0分1秒に1ドル100円50銭に上がり、9時0分2秒には100円40銭になった後、9時0分3秒には100円0銭に戻ったとしましょう。
業者Aでは優秀なシステムを持っていて、インターバンクから連絡が入ってきた際に1秒のタイムラグもなく価格を提示できたとします。
しかし、業者Bではシステムもスピードが遅く、関連会社経由で情報が手に入るので1秒のタイムラグが生じるとします。
すると、9時0分台で表示される価格はそれぞれの業者で以下のようになります。
9時0分 | 0秒 | 1秒 | 2秒 | 3秒 | 4秒 |
---|---|---|---|---|---|
業者A | 100円0銭 | 100円50銭 | 100円40銭 | 100円0銭 | ー | 業者B | ー | 100円0銭 | 100円50銭 | 100円40銭 | 100円0銭 |
9時0分0秒 | |
---|---|
業者A | 100円0銭 |
業者B | ー |
9時0分0銭 | |
---|---|
業者A | 100円0銭 |
業者B | ー |
9時0分1秒 | |
---|---|
業者A | 100円50銭 |
業者B | 100円0銭 |
9時0分2秒 | |
---|---|
業者A | 100円40銭 |
業者B | 100円50銭 |
9時0分3秒 | |
---|---|
業者A | 100円0銭 |
業者B | 100円40銭 |
9時0分4秒 | |
---|---|
業者A | ー |
業者B | 100円0銭 |
業者間アービトラージではこの際に提示が早い業者Aの価格を見てB社に注文を出すのが常套手段です。
つまり、9時0分1秒の時点で業者Aの提示を見ると50銭の値上がりが見えます。
その瞬間に業者Bに注文を出すと100円0銭で円を売って米ドルを買うことができ、確実に一秒後には米ドルが値上がりします。
そして、9時0分2秒の時点では100円40銭だとわかるので、待つよりもすぐに元に戻した方が利益になると考えられます。
そこで業者Bで米ドルを売って円を買い戻すというやり方で利益を得ます。
この方法はどのタイミングでも可能で、9時0分1秒の時点でドル安になったのを見て売り注文を考えることもできます。
もしかするともっと値上がりするかもしれないから注文を出すのは待ち、9時0分2秒になった時点で100円50銭から100円40銭にレートが下がったのを見て業者Bで100円50銭の売り注文を出すというやり方が可能です。
9時0分3秒になると100円0銭になりましたが、まだ値下がりする可能性があります。
そこで9時0分4秒まで待ち、まだ値下がりするなら待ち続け、値上がりしたようならこの時点で100円0銭を提示している業者Bで買い注文を出して利益を確定するというのが基本的なやり方です。
このようにしてレイテンシーに着目する業者間アービトラージを行えば利益を上げ続けられるだけでなく、最大限の利益が出るポイントを狙って決済することが可能です。
そのため、株式や為替、コモディティといった様々な資産で業者間アービトラージが使われています。
ただ、ほんのわずかな時間の値動きは微々たるものです。その中から比較的大きいものを探して売買をしないと労力の割に利益が出てきません。
実際には買値と売値の間にスプレッドがあるので仲値がほんの少しだけ上がっても、スプレッドが大きいと損失になります。
この例のように数秒の間に米ドル円で50銭の値上がりを起こしたような際にはチャンスで、米ドル円のスプレッドは一般的に0.2銭という低い水準になっていることから49.8銭の差益を得られます。
例えば、100万円を使ってこの業者間アービトラージをしたら、4980円の利益を生み出せるのです。
ただ、5銭しか動かなかったとしたら4.8銭分の利益にしかならないため、100万円を使っても利益は480円です。
タイミングがわずかにずれるだけで50銭の利益だったはずが10銭の損失になることもあります。
高い集中力を求められるので、労力の割に見合わないと考える人も多いのが業者間アービトラージです。
さらに、注文が殺到して約定拒否になってしまうとまた別のタイミングで決済しなければならず、もっと大きな損失が生じるリスクもあります。
そのため、業者間アービトラージは莫大な資金を持っていて、余裕を持って資金を動かせる機関投資家が業務として行うケースが多くなっています。
業者間アービトラージの自動売買はハイリスク
レイテンシーを狙った売買をする業者間アービトラージは人がやると高い集中力と判断力を求められ、ミスによるリスクが大きいのが問題点です。
その点を克服して効率的に取引をするために自動売買ソフトを使って業者間アービトラージのプログラムが作られています。
簡単に言ってしまえば、複数の業者から提示されている価格をコンピューターで取得し、そのレイテンシーの様子を見て売買をするプログラムです。
先行している価格を確認して、遅延を起こしている業者で売買の注文を出すことにより利益を得る仕組みになっています。
それなら何もせずに稼げるではないかと思うかもしれませんが、実はハイリスクなので高度な知識を持っている人以外はやめておくのが無難です。
売買のタイミングの見極め方や価格情報の取得と比較の仕方をプログラムして実行するのが自動売買の基本です。
そのプログラムの書き方も千差万別で、処理が遅いと注文が遅れて想定通りのタイミングで注文が出ません。
コンピューターだけでなくネットワークも常に安定していないとタイムラグが生じるリスクがあります。
また、業者側のシステムやネットワークの遅延による約定拒否が起こったときにどのように対処するかも細かくプログラムしなければならず、例外があった際に柔軟に対応できないリスクが高いのが問題点です。
業者が価格を提示する時間の遅延もいつも一定とは限らないので、その比較もしながら売買注文を出す高度なプログラムでないと安定して利益を生み出し続けるのは困難です。
そのため、試行錯誤をしながら自分なりに使えるプログラムを作り上げられるスキルがないと自動売買はハイリスクなのです。
簡単そうに見えるという点から、業者間アービトラージによる自動売買ソフトの販売もよく行われています。
ただ、その中には詐欺ソフトもあることが知られていて、大枚をはたいて買ったのに損失しか生まれずに資産を失った人も少なくありません。
安易な気持ちで自動売買ソフトに手を出して苦しい目に遭わないようにしましょう。
ハイローオーストラリアでの禁止事項
ハイローオーストラリアでは業者間アービトラージを直接的に禁止しているわけではありませんが、自動売買ソフトで業者間アービトラージをすることは禁止しています。
バイナリーオプションでも自動売買のプログラムが流通していて、その中には業者間アービトラージの考え方を使ったものもないわけではありません。
ハイリスクなプログラムだということも念頭に置いて、禁止だから使わないと肝に銘じましょう。
ただ、実際に問題になるのはこのような自動売買ソフトを使ったと疑惑を持たれてしまうケースです。
業者間アービトラージを自動売買で行うと、短時間に繰り返し注文を出すことになります。
ハイローオーストラリアとしてはサーバーやネットワークの負荷が大きくなるため、他のユーザーの取引に支障が生じる問題があります。
この観点から自動売買ソフトや業者間アービトラージの利用を禁止している業者はバイナリーオプション業界だけでなく、FX業界などでも少なくありません。
つまり、サーバーやネットワークの負荷になるような形で短時間に注文を繰り返すと、自動売買ソフトによる業者間アービトラージをしようとしているのではないかと疑われるリスクがあります。
実際にはハイローオーストラリア側の判断になるので、数秒間に十回以上も注文を出したからといってすぐに強制解約になるとは限りません。
ただ、注文が殺到しやすい時間帯などはモニタリングされている可能性もあるので、たった一回やっただけでもうハイローオーストラリアを利用できなくなってしまう可能性もあります。
自動売買ソフトを使わずとも、業者間アービトラージのように短時間で複数回の注文を出すのはやめておきましょう。
二連続までは大丈夫、三連続までは許容されるといったルールがあるわけではありません。
一つ一つの注文を慎重に考えてから出すようにし、あらぬ疑いをかけられてバイナリーオプションに取り組めなくなってしまうような悲惨な事態に陥らないようにしましょう。
まとめ
業者間アービトラージ等の自動売買ソフトを使用する取引はハイローオーストラリアでは禁止されています。
FXなどの他の業界でも短時間に無数の注文を出す取引手法はサーバーやネットワークの負荷になることに加え、場合によっては業者にとって大きな損失になることから禁止事項となっている場合がよくあります。
バイナリーオプションでも業者間アービトラージの考え方を使って取引をすることは可能で、自動売買ソフトも存在しています。
しかし、自動売買ソフトは詐欺のこともあってリスクが高く、プログラムを自分なりに使えるようになるには高度なスキルが必要です。
ハイローオーストラリアではそもそも禁止されているので手を出してはなりませんが、このような自動売買ソフトと同じような形の取引をしないように気を付けましょう。
疑惑を持たれてしまっただけで取引停止になる可能性があるので、一つ一つの注文を慎重に出す習慣を作るのが大切です。
ハイローオーストラリアで着実に取り組んでいけば1000万円稼ぐのも夢ではありません。
リスクの高い道を避け、自分の取引手法を確立して勝率を上げるのに専念していきましょう。